石鹸と界面活性剤の違いは?|成分表示から見分ける方法を解説

一般に、石鹸は合成界面活性剤よりも肌に優しいと言われていますが、両者を見分けるにはどうすれば良いのでしょうか?このページでは、石鹼と合成界面活性剤の特徴、成分表示欄での見分け方を解説します。

もっと詳しく知りたい方は、参考URLと参考文献を挙げましたので、チェックしてみてください。

石鹸は界面活性剤の一種

石鹸は界面活性剤の一種です。界面活性剤の歴史の中で最も古いものが石鹸だと言われています。

石鹸は油脂とアルカリ剤から作られます。油脂はパーム油、ヤシ油、馬油など動植物由来のものが使われます。これを水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)と水酸化カリウム(苛性カリ)のうち、どちらかのアルカリ剤と一緒に反応させることで石鹸ができます。水酸化ナトリウムを使った場合は固形石鹸に、水酸化カリウムを使った場合は液体石鹸になります。

石鹸だけが特別扱いな理由

家庭用品品質表示法では、人が作り出した界面活性剤を「石鹸」と「石鹸でないもの」に分けています。石鹸でないものは「合成界面活性剤」「合成洗剤」などと呼ばれます。

石鹸だけが特別扱いな理由は、製法がほかの界面活性剤に比べて格段にシンプルであるためです。加えて「水で一定以上に薄まるだけで界面活性作用を速やかに失う」という特有の性質を持っているからでもあります。

石鹸が肌に優しい理由

●石鹸は中和されると洗浄力を失うが、合成界面活性剤は肌に残り続ける

石鹸は弱アルカリ性なので、酸性の物質によって中和され、洗浄力がなくなります。皮脂や汗など、肌の汚れの多くは弱酸性です。これらが肌の上で石鹸を中和するため、洗浄力と皮膚への刺激を程々に抑えることができます。

一方、合成界面活性剤は弱酸性でも洗浄力を発揮するよう調整されている物が多くあります。また、安定性が高く変質しにくいです。そのため皮膚に対して刺激の強い物質が、中々分解されずに留まり続けることになります。

中和によって洗浄力が抑えらると言う点から見ると、石鹸のほうが洗浄力が穏やかで、肌に優しいと言えます。

●石鹸は水で薄まると洗浄力を失うが、合成界面活性剤はすすぎにくい

石鹸は水で一定の濃度以上に薄まると、洗浄力(界面活性作用)が無くなります。そのため、簡単に洗い落とす事ができます。

一方、合成界面活性剤は水で薄まっても洗浄力を保つ物が多くあります。そのため、かなり丁寧にすすがないと肌に残る事もあります。

合成界面活性剤よりも石鹸の方が肌に残りにくく、その点では肌に優しいと言えます。

石鹸以外の界面活性剤は危険なの?

「合成界面活性剤は肌に良くない」という主張をよく見ます。特に問題なのが、界面活性作用が強すぎると、角層で水分を挟み込んで保持してくれているセラミドなどの細胞間脂質まで洗い流してしまうという点です。

しかし、界面活性剤の危険性は、種類や濃度、他の成分との組み合わせによって異なります。したがって、正確には「合成界面活性剤を使用した製品の中には、安全なものもあれば危険なものもある」と言うべきでしょう。

また、スキンケアにおいては、皮脂や古い角質など、不要なものをきちんと除去することがとても大切です。界面活性剤を使わずに、肌の汚れを落としきるのは難しいでしょう。界面活性剤を避けるよりも、正しいく使いこなせるようになった方が良いと考えられます。安全な製品は、メイクなどの汚れはしっかり除去し、必要以上に皮脂を奪わないものです。

界面活性剤の種類

界面活性剤は、イオン性(電気を帯びる性質)によって、4種類に大別されます。界面活性剤の刺激の強さは、「電気(イオン)を帯びやすいかどうか」によって決まります。一般に、電気を帯びやすい界面活性剤ほど刺激性が高くなります。

複数の界面活性剤が使用されている場合は、成分表示の一番最初に書かれているものが、最も配合量が多い(ベース成分)と考えられます。

陰イオン界面活性剤(アニオン型)

低刺激性

配合目的:洗浄、泡立ちを良くする、乳化を助ける

主な製品:石けん、シャンプー、ボディソープ、洗顔料、食器用洗剤、洗濯洗剤など

見分け方:後述


水に溶けるとマイナスの電荷(陰イオン)を帯びる性質があります。

一般的に刺激性は弱いですが、脱脂力の強いものもあります。

陽イオン界面活性剤(カチオン型)

高刺激性

配合目的:潤滑、柔軟、殺菌

主な製品:コンディショナー、ヘアトリートメント、殺菌剤、防腐剤、洗濯用柔軟剤など

見分け方:「○○クロリド」「○○ブロミド」「○○メトサルフェート」「○○エトサルフェート」「○○アミン」「クオタニウム-数字」など。スキンケアではあまり使われない。


水に溶けるとプラスの電荷(陽イオン)を帯びる性質があります。動物の細胞はマイナスの電荷を帯びているため、プラスの電荷を持つ陽イオン界面活性剤は、生体にとって刺激や毒になりやすいと言われています。

また、皮膚に吸着して残りやすい性質を持つため、コンディショナーなどは十分にすすいで落とさないと、肌トラブルの原因になります。

両性イオン界面活性剤(アンホ型)

ほぼ無刺激~低刺激性

配合目的:アルカリ性で洗剤、酸性で柔軟剤になる

主な製品:ベビー用品、化粧品、食品用乳化剤など

見分け方:「○○ベタイン」「○○オキシド」で終わるもの。「○○アンホ」「レシチン」を含むもの。


陰イオンと陽イオン両方の性質がありますが、中和し合うため安定しています。そのため皮膚刺激も弱いです。

洗浄力が弱いので、ベビーシャンプーなどの成分として用いられます。他の界面活性剤の洗浄力や皮膚刺激性を調整するために使われることも多いです。

非イオン界面活性剤(ノニオン型)

ほぼ無刺激性

配合目的:乳化、水に溶けやすくする、洗浄補助剤、泡立ちを良くする

主な製品:化粧品、食品用乳化剤、シャンプー、ボディソープ、洗顔料など多岐に渡る

見分け方:「○○ポリグリセリル-数字」「○○ソルビタン」「○○DEA」「○○MEA」「PEG-数字」「(ポリ)グリセリル」「グルコシド」「○○酸スクロース」「ポリソルベート」「ソルビタン」「ソルベス」などを含む。「ラウレス/セテス/オレス/ステアレス/べへネス/トリデセス/ミレス/イソステアレス/コレス」に「-数字」がつく。


水中で電気を帯びないため、ほぼ刺激性がありません。

洗浄力は弱いため、洗浄目的で配合する場合には他の界面活性剤と合わせて用いられることがほとんどです。

乳化が得意で、スキンケア化粧品やメイクアップ化粧品まで幅広く使われています。食品添加物として認められたものもあります。

 

 

体を洗う洗浄剤の主成分は、ほとんど陰イオン界面活性剤

世に出回っているほとんどのシャンプー、ボディソープ、洗顔料の主成分は、陰イオン界面活性剤です。石鹸や、肌に優しいと言われるアミノ酸系洗浄成分も、陰イオン界面活性剤に属します。

ラウリル硫酸Naなど、洗浄力と刺激性が強い陰イオン界面活性剤が使われていた時期もありました。しかし、現在においては、陰イオン界面活性剤の安全性は格段に高まっていると考えられます。

低刺激な陰イオン界面活性剤が開発され、強力な成分はあまり使われなくなっています。さらに、複数の界面活性剤を組み合わせることにより、刺激性を低下させる方法が編み出されています。また、保湿剤を配合することで、肌の負担を軽減しています。

陰イオン界面活性剤一覧

石鹸(石けん素地、カリ石けん素地、ラウリン酸Naなど)

アルキル硫酸系(ラウリル硫酸Na/TEA/アンモニウム、ココアルキル硫酸Na)

スルホン酸系(スルホン酸Naがつくもの)

ラウレス硫酸系(ラウレス硫酸Na/TEA/アンモニウム、パレス硫酸Na)

スルホコハク酸系(スルホコハク酸がつくもの)

カルボン酸系(カルボン酸Na、酢酸Naがつくもの)

イセチオン酸系(イセチオン酸Naがつくもの)

タウリン系(ココイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンNa)

アミノ酸系(ココイル~、ラウロイル~で始まり、メチルアラニン、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの言葉を含む)

加水分解タンパク系(ココイル加水分解~、ラウロイル加水分解~で始まるもの)

要注意な陰イオン界面活性剤

アルキル硫酸系スルホン酸系は最初期につくられた合成界面活性剤で、洗浄力や刺激性が非常に高いため、注意が必要です。

ラウレス硫酸系は少し改良が加えられたものの、洗浄力や刺激性は高めなので、避けた方が良いでしょう。

洗顔料の洗浄力を説明する図

かずのすけ、白野実『化粧品成分辞典』より作成

おすすめは石鹸!場合によってカルボン酸系やアミノ酸系と使い分けよう

洗浄力が強すぎる界面活性剤を使うと、皮脂やセラミドなどの保湿成分を落としすぎてしまうため、注意が必要です。しかし、とにかく肌に優しい界面活性剤を使えばよいというわけではありません。洗浄力が弱すぎて皮脂などの汚れを落としきれないと、肌トラブルの原因になってしまいます。良い界面活性剤とは、メイクなどの汚れはしっかり除去し、必要以上に皮脂を奪わないものです。

基本的には、顔も体も石鹸がベースの洗浄剤で洗うのがおすすめです。グリセリン、ヒアルロン酸、セラミドなどの保湿成分が配合されているものを選ぶと良いでしょう。

石鹸で乾燥してしまう場合は、カルボン酸系やアミノ酸系に変えてみましょう。

製品によっては、泡立ちを良くするためや、乳化をを安定させるためなどの補助的な目的で、石鹸以外の界面活性剤が配合されていることがあります。その場合は、非イオン界面活性剤(ノニオン型)などの低刺激な界面活性剤を使用しているものがおすすめです。

皮脂量が十分ある人:石鹸がおすすめ。朝晩2回の洗顔で乾燥しすぎる場合は、朝だけカルボン酸系やアミノ酸系を使うと良い。

乾燥肌、敏感肌の人:石鹸で乾燥しすぎる場合は、カルボン酸系やアミノ酸系が良い。

石鹸の見分け方

石鹸はヤシ油などの「油脂」に、「アルカリ剤」を混ぜて作られます。アルカリ剤が水酸化Na(ナトリウム)の場合は固形石鹸、水酸化K(カリウム)の場合は液体石鹸が多いです。

成分表示のパターンは4種類あります。

①そのまま表

石けん素地、カリ石けん素地、カリ含有石けん素地など。

②脂肪酸とアルカリ剤に分けて記載

ラウリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸/オレイン酸など+水酸化Na/水酸化K

③反応したあとの成分名で記載

ラウリン酸Na、ミリスチン酸Na、ステアリン酸K、オレイン酸Kなど

④油脂とアルカリ剤に分けて記載

  • ヤシ油、水酸化Na
  • パーム油、水酸化K
  • オリーブ果実油、水酸化K
  • 馬油、水酸化K

洗顔料やボディソープは②のパターンが多く、成分表示の上位に「○○酸」と「水酸化Na」「水酸化K」があれば、ほぼ石けんといえます。

カルボン酸系の見分け方
  • ラウレス+(4・5・6のいずれかの数字)+カルボン酸Na
  • ラウレス+(4・5・6のいずれかの数字)+酢酸Na
アミノ酸系の見分け方
  • 「ラウロイル」または「ココイル」+メチルアラニン/グリシン/アスパラギン酸/グルタミン酸のどれかを含む

おぷろボディソープⅡは石鹸ベースの低刺激処方です

おぷろシリーズは、ビタミンC(アスコルビン酸)を使って塩素を除去する入浴グッズです。

洗っているときに、お肌はいちばんデリケートになります。それは、お肌を守る油分までも洗い流してしまうので、無防備な状態になるから。そんなときに、残留塩素のダメージを受けてしまうのです。

おぷろボディソープは、ビタミンCの力で残留塩素のダメージをブロックしながら、汚れをきちんと落とします。

【おぷろボディソープの全成分】

水、カリ石ケン素地、グリセリン、コカミドプロピルベタイン、塩化Na、PEG-100水添ヒマシ油、アスコルビン酸、オレンジ果皮油、レモングラス油、ニオイテンジクアオイ油、ベルガモット果実油、アオモジ果実油、ユーカリ葉油、ラベンダー油、スペアミント油、セイヨウハッカ油、アルテミシアヘルバアルバ油、ニクズク核油、チョウジ芽油、オニサルビア油、ベチベル根油、トコフェロール、加水分解ヒアルロン酸、グリチルリチン酸2K、アラントイン、グリセリルグルコシド、水添レシチン、フィトステロールズ、セラミドNP、セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド、エチルヘキシルグリセリン、ラウリン酸ポリグリセリル-10、クエン酸、クエン酸Na、EDTA-4Na


カリ石ケン素地(液体石鹸)

ベース成分は石鹸です。石鹸は水で薄まると界面活性剤としての作用を失うため、肌に残り続けることがなく安全です。

水添レシチン

両性イオン界面活性剤です。刺激性はほぼありません。乳化を補助する、陰イオン界面活性剤の刺激を緩和するといった効果があります。

角層水分量増加による保湿作用もあります。

コカミドプロピルベタイン、PEG-100水添ヒマシ油、ラウリン酸ポリグリセリル-10

非イオン界面活性剤です。刺激性はほぼありません。乳化を補助する、泡立ちを良くするなどの目的で配合されます。

コカミドプロピルベタインには陰イオン界面活性剤の刺激を緩和する作用があります

フィトステロールズ

乳化を安定させる成分で、エモリエント効果(肌の水分の蒸発を防いでうるおいを保ち、肌を柔らかくする効果)もあります。

医薬品添加物規格に適合しており、刺激性はほとんどありません。

エチルヘキシルグリセリン

グリセリンの合成物です。保湿効果と抗菌効果があり、防腐補助のために配合されます。

医薬部外品原料規格に適合しており、刺激性はほとんどありません。

トコフェロール

ビタミンEです。製品の酸化防止剤として配合されます。

クエン酸、クエン酸Na

製品のphを調整するために使われます。食品添加物にも使われる安全な成分です。

EDTA-4Na

製品に有害な影響を及ぼす金属イオンに結合して、金属イオンと他の成分との固有の反応を起こさなくする成分です。(キレート作用)一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられています。

合成香料不使用

合成香料にはアレルギーのリスクがあります。そのためおぷろボディソープⅡは天然の精油で香りを付けています。

防腐剤不使用

パラベン、フェノキシエタノール、安息香酸Na、ヒノキチオールなどを使っていません。

保湿成分配合

グリセリン、セラミドNP(ヒト型セラミド)、セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド(疑似セラミド)、加水分解ヒアルロン酸、グリセリルグルコシドといった保湿成分を配合。

抗炎症成分配合

肌荒れ防止化粧品でおなじみのグリチルリチン酸2K、アラントインを配合。


総合すると、かなり低刺激といって差し支えないと思います。保湿力が高く、抗炎症成分が配合されていることもポイントです。

肌に優しいボディソープを探している方には、ぜひ1度使っていただきたい商品です。

おぷろボディソープⅡ

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参考URL・参考文献

石鹸も界面活性剤の一種ってほんとですか? |石鹸百科 (live-science.com)

界面活性剤の解説と成分一覧 | 化粧品成分オンライン (cosmetic-ingredients.org)

長谷川 治 (洗剤・環境科学研究会 事務局次長)『これでわかる!石けんと合成洗剤 50の疑問: あなたは何を使って洗っていますか? 』合同出版 2015年

久光一誠『化粧品成分表示のかんたん読み方手帳』永岡書店 2017年

かずのすけ、白野実『化粧品成分辞典』 主婦の友社 2019年

小澤貴子『賢い化粧院の選び方』 河出書房新社 2018年