ウォーターハンマー現象とは、水道管内の水の流れが急に止まることで発生する衝撃圧力のことを指します。
この現象によって、「ドン」といった衝撃音が発生し、水道管にダメージを与えることがあります。
主な原因は水圧が高すぎることです。まず水圧をチェックし、状況に応じて減圧弁を取り付けるなど適切な対策を取りましょう。
【目次】
ウォーターハンマーとは
ウォーターハンマー現象(Water Hammer)とは、水道管内の水の流れが急に止まることで発生する衝撃圧力(圧力波)のことを指します。この現象によって、「ドン」「ゴン」といった衝撃音が発生し、水道管にダメージを与えることがあります。
ウォーターハンマー現象は水道設備の寿命を縮める原因になるため、特にマンションやビルなどの大きな建物では対策が重要です。
ウォーターハンマーの仕組み
- 水が勢いよく流れている状態
- 水道の蛇口や電磁弁が開いているとき、水は一定の速度で管内を流れています。
- 突然水の流れを止める
- 蛇口を急に閉める、または電磁弁が急停止すると、水の運動エネルギーが行き場を失い、高圧力が発生します。
- 圧力波が水道管を振動させる
- この圧力波が管壁や継ぎ目に衝撃を与え、「ウォーターハンマー音」と呼ばれる音を発生させます。
ウォーターハンマーの影響
- 水道管の損傷・破裂
- 継ぎ目のゆるみ・漏水
- 給水設備(ポンプ・バルブなど)の故障
- 騒音(住環境への悪影響)
ウォーターハンマーの原因
ウォーターハンマーの主な原因は水圧が高すぎることですが、それ以外にもさまざまな要素が影響を与えます。以下のような要因がウォーターハンマーを引き起こしやすくなります。
1. 蛇口やバルブの急閉
水の流れが急に止まることで、管内の水が衝撃を受け、ウォーターハンマーが発生します。
具体例
- レバー式混合栓の急閉(一気に閉じると強い圧力が発生)
- 電磁弁(ソレノイドバルブ)の動作(洗濯機や食洗機など)
- 自動水栓(センサー式の蛇口は急に止まりやすい)
▶ 対策
- ゆっくり蛇口を閉める(手動なら注意する)
- 水撃防止器を取り付ける(特に電磁弁のある設備)
2. 配管の固定が甘い(配管の支持不足)
配管がしっかり固定されていないと、ウォーターハンマーの衝撃で水道管がガタガタ振動し、音やダメージが発生します。
具体例
- 壁の中や天井裏の配管が緩んでいる
- 床下の水道管が固定されていない
▶ 対策
- 配管の固定金具を追加する(揺れを防ぐ)
- ゴムパッドなどの緩衝材を使用する(振動を吸収)
3. 配管の材質・構造
配管の種類や内部の構造によっても、ウォーターハンマーが起こりやすくなります。
影響を与える要因
- 金属配管(銅管・鉄管)は衝撃を伝えやすい
- プラスチック管(塩ビ管・ポリ管)は振動を吸収しやすいが、固定が甘いと動きやすい
- 配管の経路に急カーブや分岐が多いと、圧力変動が大きくなる
▶ 対策
- 緩衝性のある配管を使用する(柔軟性のあるポリ管など)
- 急な曲がりを避ける(緩やかなカーブをつける)
4. 配管内の空気溜まり(エアロック)
配管の一部に空気が閉じ込められると、急に水が動いたときに圧力変動が大きくなり、ウォーターハンマーを引き起こすことがあります。
具体例
- 長期間使用していなかった水道管
- エア抜きせずに配管を接続した場合
▶ 対策
- 蛇口を少しずつ開けてエア抜きをする
- 水を出しっぱなしにして空気を排出する
5. バルブや給水設備の異常
バルブや給水設備が正常に機能していないと、圧力の急変が発生し、ウォーターハンマーにつながることがあります。
具体例
- 老朽化したバルブや逆止弁の故障
- 減圧弁が適切に動作していない
- 給湯器の電磁弁が急に閉じる
▶ 対策
- バルブや設備の定期点検を行う
- 減圧弁の設置や調整をする
6. ポンプの作動
マンションや高層ビルなどでは、給水ポンプのON/OFF時に圧力変動が発生し、それがウォーターハンマーの原因になることがあります。
具体例
- 給水ポンプの急停止
- 揚水ポンプの切り替え時の圧力変動
▶ 対策
- 圧力を安定させる「圧力タンク」を設置
- インバーター制御のポンプに変更する(徐々に水圧を変化させる)
ウォーターハンマーの原因まとめ
ウォーターハンマーの対策
- ゆっくり蛇口を閉める
- 急に閉めると発生しやすいため、できるだけゆっくり閉める。
- ウォーターハンマー防止弁を設置する
- 衝撃圧力を吸収するための**緩衝装置(ウォーターハンマーダンパー)**を取り付ける。
- 水道管の固定を強化する
- 振動が起こりにくいように管をしっかり固定することで影響を軽減できる。
- 減圧弁を使う
- 水圧が高すぎる場合は減圧弁を設置して圧力を下げる。
「減圧弁」「水撃防止器」でウォーターハンマーを防ぐ
1.減圧弁の仕組み
減圧弁は、水道の圧力を一定の範囲に調整する装置です。主に水圧が高すぎる場合の抑制やウォーターハンマーの軽減に使用されます。
減圧弁の基本構造
- 入口側(高圧):水道本管からの高圧の水が入る。
- 調整部(ダイヤフラム・スプリング):内部に圧力調整用のダイヤフラム(膜)やスプリングがあり、圧力を自動的に調整する。
- 出口側(低圧):調整された適正な水圧の水が流れる。
減圧弁の動作原理
- 水圧が高い場合
- 高圧の水が弁を押し上げようとする。
- ダイヤフラムやスプリングの力によって弁が少し閉じられ、流量を制御することで水圧を下げる。
- 水圧が低くなると
- 圧力が下がると弁が開き、水の流れを増やして安定した水圧を保つ。
▶ 目的:家庭やビルの水道設備の保護、ウォーターハンマーの軽減、安定した水圧供給。
2. 水撃防止器の仕組み
水撃防止器は、ウォーターハンマーの衝撃を吸収するための装置です。
水撃防止器の基本構造
- シリンダー型(ピストン式)
- 内部にピストンと空気室(またはガス室)があり、急激な水圧の変化を吸収する。
- 袋型(ダイヤフラム式)
- ゴム膜(ダイヤフラム)を使い、水と空気を分離しながら圧力を吸収する。
水撃防止器の動作原理
- 水道の蛇口やバルブを閉じる
- 急に水を止めると、流れていた水の運動エネルギーが圧力波(ウォーターハンマー)として水道管に伝わる。
- 水撃防止器が衝撃を吸収
- 圧力波が水撃防止器内に流入し、内部のピストンや空気室が圧力を和らげる。
- 水の流れが安定すると、ピストンが元の位置に戻り、通常の水圧に復帰する。
▶ 目的:水道管の振動・騒音の防止、水道設備の保護、漏水リスクの低減。
減圧弁と水撃防止器の違い
減圧弁と水撃防止器の違いは、以下のようになります。
減圧弁
減圧弁は、水道の水圧を適切な範囲に調整するために使用されます。以下のような場所や方法で使用します。
設置場所
- 水道メーターの後(建物全体の水圧調整)
- 給水管の途中(特定のエリアや設備の水圧調整)
- ボイラーや給湯器の前(機器の保護)
水撃防止器
水撃防止器は、ウォーターハンマー(急な水の停止による衝撃音や振動)を防ぐために使用します。
設置場所
- 蛇口の近く(特に高速で水が止まる自動水栓)
- 洗濯機や食器洗い機の給水ホースの接続部(電磁弁による急停止対策)
- 電磁弁・ソレノイドバルブの近く(工業用設備など)
- 水道管の途中(衝撃が発生しやすい箇所)
ウォーターハンマー対策としては両方を組み合わせて使うのが理想です。
また、状況によって、どちらを使用するべきか変わることがあります。
- 水圧が高い場合 → 減圧弁
- ウォーターハンマーが発生する場合 → 水撃防止器
- 両方の問題がある場合 → 減圧弁+水撃防止器の併用がベスト!
水圧を自分で測る方法
正確な値が知りたい場合は、水圧計を使うのがベストですが、簡単に測りたいなら2Lのペットボトルが何秒で満たされるかを測ることで、大まかな水圧を推測可能です。
必要なもの
- 2Lのペットボトル(目盛り付きが便利)
- ストップウォッチ(スマホのタイマーでもOK)
- 蛇口(水圧を知りたい場所のもの)
測定手順
1️⃣ 蛇口の先にペットボトルをセット(蛇口に直接入れる or 口を当てる)
2️⃣ 蛇口を全開にし、2Lが満タンになるまでの時間を計る
3️⃣ 以下の表と照らし合わせて水圧の目安を確認する
ポイント
✅ できるだけ蛇口を全開にする(正確に測るため)
✅ 水道メーターに近い場所で測る(元の水圧を知るため)
✅ 複数の蛇口で測定するとより正確(家の中の圧力差を確認)
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ミニ減圧弁
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ミニ減圧弁
MIZSEIの減圧弁は【ミニ】減圧弁。小型なのでスペースをとりません。
また、その小ささで耐久性能に優れており、取付後のメンテナンスは不要です。
従来のダイヤフラム方式と異なりピストン方式なので、膜がやぶれるといったことがありません。
一軸減圧弁
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一軸減圧弁
ダイヤフラム式ではなく、ばね構造を採用している事により安定した圧力特性になります。
本体をφ約30mmのサイズまで落とし込む事で、コストを抑えた商品です。
管の線上に施工できるため、ミニ減圧弁よりもさらに施工スペースをコンパクトにできます。
流量を絞る節水タイプです。
リリーフエース(水撃防止器)
- 水栓上部型
- 止水栓補助型
- 15Aオスねじ型
取付方法によって、水栓上部型、止水栓補助型、15Aオスネジ型の3種類をご用意しております。
水撃防止効率の高いダイヤフラム構造を採用。優れた耐久性です。
360度どの角度にも取付け可能です。
メンテナンスフリーだから、取付け後の手間もありません。
お問い合わせ
弊社は弊社は岐阜県山県市にある水栓メーカーです。 商品のことや、その他気になることがあればお気軽にご連絡ください。
株式会社水生活製作所 開発部 お問合せ窓口
電話番号:0581-23-0570(平日9:00~17:00) メールアドレス:information@mizsei.co.jp
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