浄水器のろ材にはどんな種類があるの?|メリット・デメリットを解説

水をキレイにするためには「ろ材」を使いますが、1種類ですべての有害物質を除去できるろ材はありません。ろ材によって除去できる有害物質が異なります。そのため、ろ材を複数組み合わせて、いろいろな有害物質を除去できるようにしています。

今回は、浄水器に使われるろ材には何があるのか、それぞれどんな特徴があるのかを解説します。

浄水器のフィルターは2種類の層から構成されている

浄水器は、基本的に2種類の層で構成されています。

1つは「ろ過膜層」で、不織布などから成る層です。一般細菌や濁り、カビなど、水中で原子状・分子状のものを吸着してろ過する部分です。

もう1つは「ろ過材層」で、活性炭などのろ材による層です。有機物やにおい、塩素など水中で粒子状のものを吸着してろ過する部分です。

この2つの層をくぐり抜けることで、有害物質が除去されていきます。

一般的なフィルターのしくみ

浄水器で取り除ける有害物質には「粒子状」と「分子状」がある

水道水に含まれる有害物質は、「粒子状」のものと「分子状」のものとがあります。

粒子状のものは、濁り成分・鉄サビ・細菌・原虫・アルミニウムなどの凝集物・粒状鉛などです。約0.1㎛(※1)以上の、比較的大きな物質が含まれます。粒子状の物質はろ過膜でこしとるのが効果的です。

※1:1㎛(マイクロメートル)は1000分の1㎜(ミリメートル)

分子状のものは、塩素や鉛などの無機物、農薬やトリハロメタンなどの有機物などです。プラスイオンやマイナスイオンの状態になっているものもあります。

大きさは、1㎚(※2)の数分の1から10㎚程度まであり、非常に小さな物質です。逆浸透膜以外のろ過膜ではこし取ることができないので、吸着・化学反応・イオン交換などの能力を持つろ材を使用します。

※2:1㎚(ナノメートル)は、100万分の1㎜(ミリメートル)

粒子の大きさ比較

浄水器の「ろ材」一覧

以下に、浄水器に使われるろ材の特徴を記載しました。ろ材の除去性能については、製造メーカーや使用状況によって変動する可能性があります。

活性炭(粒状活性炭、繊維状活性炭など)

もともと炭はいろんな物質を吸着する性質をもっています。これに「賦活(ふかつ)」という処理を施して、吸着する性質を強化したものが、活性炭です。賦活とは、炭に高温(800~900℃)の水蒸気を吹き付けることです。これによって、炭の表面に目に見えないほど小さな孔を無数にあけています。この孔の中に、有害物質を引き寄せて閉じ込めることで、水を浄化します。

活性炭の表面は有機物と相性がいいので、有機物をよく吸着します。最近話題になっている、有機フッ素化合物(PFAS)の一部である、PFOSとPFOAも除去できることが判明しています。

活性炭は塩素も除去しますが、吸着するのではなく、化学反応によって殺菌作用のない無害な物質に変換しています。

銀装着活性炭

銀が持つ抗菌効果を利用した、銀添着活性炭というものも存在します。これは活性炭の表面を銀でコーティングしたものです。

活性炭フィルターの中には塩素を抜いた水が溜まるため、雑菌が繁殖しやすくなります。そのため、銀を用いて雑菌の繁殖を防いでいるのです。

銀添着活性炭はかなり多くの浄水器に使われていますので、銀不使用の浄水器を使いたい方は気を付けてください。

メリット

  • ミネラル分をそのまま残すことができる
  • 形状が豊富で使用量の調整がしやすい
  • コストが低い

デメリット

  • 長く使ったり、高温の熱水を通したりすると、吸着したものを再び放出する
  • ヒ素やカドミウム、水銀などの有害ミネラルに対応出来ない

除去できる物質

カビ臭、残留塩素、トリハロメタン類、界面活性剤、合成有機化学物質、環境ホルモンの一部、農薬類、PFOS、PFOAなど

 

活性炭について詳しく知りたい方はこちら:活性炭と炭の違いは何?―浄水器のカートリッジに活性炭が使われる理由 | MIZSEI 水生活製作所


ブロック活性炭

粒状活性炭や繊維状活性炭を圧縮して固めたものです。活性炭どうしの隙間を小さくして、ろ過膜としても機能するようになっています。一般的な粒状活性炭のフィルターよりも除去性能は高いです

メリット

  • ミネラル分をそのまま残すことができる
  • ろ過と吸着を同時に行えるので、フィルターの体積が実質2倍になる
  • 一般的な活性炭フィルターより除去性能が高い

デメリット

  • ろ過膜としての性能は、比較的大きな物質しか除去できない(中空糸膜フィルターに匹敵する性能の物もある)
  • 長く使ったり、熱水を通したりすると、吸着したものを再び放出する
  • ヒ素やカドミウム、水銀などの有害ミネラルに対応出来ない

除去できる物質

カビ臭、残留塩素、トリハロメタン類、界面活性剤、合成有機化学物質、環境ホルモンの一部、農薬類、PFOS、PFOAなど


イオン交換樹脂

樹脂とはプラスチックのことです。「陽イオン交換樹脂」と「陰イオン交換樹脂」の2種類があります。

簡単に言うと、水中に溶けているイオン化した物質を吸着して、無害なイオンに交換する、というものです。

水中にはプラスイオンを帯電したナトリウムなどの物質と、マイナスイオンを帯電した塩素などの物質が存在します。プラスイオンを吸着する陽イオン交換樹脂と、マイナスイオンを吸着する陰イオン交換樹脂がそれぞれ働き、不純物を取り除いてくれます。

メリット

  • 陽イオン交換樹脂に塩酸を、陰イオン交換樹脂に水酸化ナトリウムを流すことで再生できる
  • 特定の有害物質を除去しやすいイオン交換樹脂を作ることができる

デメリット

  • 有機物や細菌類の除去はできない
  • 水の美味しさであるミネラルを除去する
  • ほかのろ材と比べてコストが高め

除去できる物質

水中でイオン化している物質。残留塩素、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、ヒ素、カドミウム、鉛、銅、亜鉛、ニッケル、クロムなど。

 

参考:イオン交換樹脂とは?その原理と種類、再生方法、用途について – LANXESS


不織布

不織布は、ポリエステルやポリプロピレンなどの化学繊維を織らずにシート状に成型したものです。赤サビなどの比較的大きな不純物を除去するのに適しており、活性炭や中空糸膜と組み合わせて使用されることが多いです。

メリット

  • 抗菌物質を混ぜることができる
  • コストが低い

デメリット

  • 大きな物質しか除去できない(数μm~数百μm)

除去できる物質

赤サビ、水の濁り、水カビ、一般細菌など


中空糸膜

中空糸膜フィルターは、約0.1μm以上の粒状の物質を通さないろ過膜です。

中空糸でできたフィルターを中空糸膜とよんでおり、これがろ過膜の主流になっています。素材はポリエチレンかポリスルホンで、見た目は太めの白い糸ですが、ストローのように中が空洞になっています。さらに、肉の部分にもスポンジのように孔が無数にあいています。水が肉の部分の穴を伝って内部の中空部に流れ込む過程でろ過されていきます。この中空糸を何十本、何百本と束ねて膜として使います。

メリット

  • 水の美味しさであるミネラルを除去しない
  • コストが低い

デメリット

  • ヒ素やマンガン、水銀などの有害ミネラルに対応出来ない
  • 残留塩素は除去できない
  • 目詰まりしやすい

除去できる物質

赤サビや水の濁り、水カビ、一般細菌、原虫など

 

参考:中空糸膜の基礎|株式会社 GSユアサ メンブレン


セラミック

セラミックフィルターは、数十μm程度のアルミナ結晶の粒を固めたもので、粒の隙間で大体0.1μm以上の粒状物質をろ過します。中空糸膜と同程度の除去能力を持っています。

ちなみに、アルミナ結晶とはアルミニウムの化合物ですが、水にアルミニウムが溶け出す心配はありません。

メリット

  • 耐熱性があり、熱水でも使用できる
  • 薬品に強く、変形しにくい
  • 圧力で変形しにくい
  • 洗浄により再利用できる

デメリット

  • ヒ素やカドミウム、水銀などの有害ミネラルに対応出来ない
  • 残留塩素は除去できない
  • 目詰まりしやすい
  • 本体とカートリッジのコストが高め

除去できる物質

赤サビや水の濁り、水カビ、一般細菌、原虫など

 

参考:浄水器フィルター|公益社団法人 日本セラミックス協会


逆浸透膜(RO)

逆浸透膜は、水分子だけを通すろ過膜です。0.001㎛以下の非常に微細な孔を持ち、水に含まれた分子状、分子イオン状の物質まで通しません。

逆浸透膜を通した水は純水に近くなります。残留塩素や有機物はもちろん、水中のイオンやウイルスなど、他のろ材では取り除くことのできない物質を除去することが可能です。

元々は海水の淡水化のために開発されたものです。現在では工業用の純水の製造や、下水の処理など様々な分野で活用されています。

メリット

  • 有害物質の除去性能が非常に高い

デメリット

  • 浄水速度が遅く、タンクに溜め水をしなければならない
  • 浄水器本体が大きめで、タンクも必要なため、設置場所にある程度の広さが必要
  • 目詰まりしやすい
  • 排水が出てしまう
  • 美味しさであるミネラルまで除去してしまう
  • 本体の価格とランニングコストが高い

除去できる物質

異臭味、カビ臭、残留塩素、トリハロメタン類、農薬類、赤サビや濁り、水カビ、原虫、一般細菌、ウイルス、重金属、ヒ素、アルミニウム、アスベスト、ダイオキシン、環境ホルモン、合成有機化学物質など

 

参考:よくある質問|浄水器/アクアカルテック 

MIZSEIの浄水器は不織布×活性炭で有害物質をしっかり除去

ろ材にはヤシ殻を原料にした活性炭が最も適している、と言われます。MIZSEIの浄水フィルターには、ヤシ殻活性炭を使用。不織布と活性炭による層で、水道水中の有害物質をしっかり除去します。

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お使いの水栓のカプラサイズに合わせて、通常仕様とM社専用仕様の2種類をご用意。MIZSEIの浄水器用水栓をお使いの方は通常仕様をお求めください。他社の浄水器用水栓をお使いの方はどちらの仕様が適合するかをご確認ください。

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参考文献

池 裕次郎『安全でおいしい水が飲みたい! 浄水器 賢い選び方・使い方』 亜紀書房 2008年