「予洗い」という言葉を聞くと、洗濯前の工程をイメージする方が多いのではないでしょうか。洗濯前の予洗いは、洗濯機に入れる前に汚れのひどい場所を個別で手洗いすることです。予洗いすることにより洗濯機だけでは落としづらい汚れも、効率的に落とすことができます。実はこの予洗い、洗濯前だけでなくシャンプー前にもぜひ取り入れたい工程なのです。
予洗いって何?
髪の予洗いとは、シャンプーをする前にお湯のみで髪や頭皮を洗うことをいいます。
シャンプー前の予洗いで、髪についたホコリや汚れの6~7割は落ちるといわれています。予洗いで汚れを落とすことで、シャンプー剤の使用を最小限にでき、シャンプー剤による刺激も少なくすることができます。
予洗いをして汚れを浮き上がらせてあげると、シャンプーの泡立ちが格段に良くなり、髪や頭皮を強くこすることなく落とせるようになります。シャンプー時に摩擦が起きると、髪を傷つける原因となっています。ブラッシングなどもそうですが、髪にあまりに摩擦がかかるとキューティクルを開きやすくしてしまい、髪の枝毛や切れ毛などのダメージに繋がります。シャンプーも顔や体と同じようにできるだけ負担をかけることなく、優しく洗ってあげることが大切なのです。
予洗いの方法
- 髪が乾いている状態のときに丁寧なブラッシングをして、髪の絡みを取り除きます。
- お湯を使って髪全体を濡らします。頭皮も一緒に濡らすようにしてください。
- 頭皮の汚れを浮かせる為に、指の腹を使って1~3分ほど頭皮を優しくマッサージしていきます
- 予洗いが終わったらシャンプーを髪につけて先ほどと同じように、優しくマッサージしながら洗っていきます。
- 最後にしっかりとすすいで終了です。すすぎが足りないと頭皮や髪のトラブルの原因になりますので注意してくださいね。
38度前後のぬるま湯で根元からしっかり洗い流すのがポイントです。
また、シャンプーの本来の目的は、髪ではなく頭皮を洗うことです。頭皮環境が健康であれば、髪の成長サイクルが乱れることなく、美しい髪を育てることができます。
洗浄力の強いシャンプーに注意
洗髪不足、あるいは抜け毛が怖いからと恐る恐る頭皮をなでるように洗う、頭皮を洗わず髪の毛だけを洗うというような洗髪法の間違い等によって、頭皮に酸化皮脂が堆積してしまうと、脱毛やニオイの原因となります。
しかし、洗浄力の強いシャンプーによる過度な洗髪によって引き起こされる皮脂の過剰分泌にも注意が必要です。皮脂を落としすぎると、失われた皮脂を補うために、かえって皮脂の分泌が盛んになるからです。
シャンプー剤を選ぶときは、肌に優しくて適度な洗浄力がある、アミノ酸系のシャンプーを選ぶと良いでしょう。ただし、市販の大衆向けシャンプーは、ほとんどが強力な界面活性剤を使用しています。そこからいきなりアミノ酸系に変えると、洗浄力が不足する場合があります。シャンプーを変えるときは、まずは洗浄力が強めのタウリン系やカルボン酸系から試してみることをおすすめします。
避けるべきシャンプーの成分
- 語尾に「〇〇硫酸Na」「〇〇硫酸TEA」が付くもの(※「硫酸Na」単体は大丈夫)
- 語尾に「〇〇スルホン酸Na」が付くもの
- 石鹸(カリ石鹸素地)
- 殺菌剤
シャンプーの洗浄成分は、主に「陰イオン界面活性剤」です。「硫酸系」「スルホン酸系」の界面活性剤は特に洗浄力と刺激が強いので、注意が必要です。
石鹸は弱アルカリ性の洗剤です。毛髪は、弱酸性だとキューティクルが閉じ、アルカリ性だとキューティクルが開く性質があります。そのため、石鹸シャンプーを使うとキューティクルが開いてギシギシの髪になってしまいます。また、髪の主成分であるケラチンはアルカリに弱いため、傷む原因にもなります。
殺菌剤配合のシャンプーを使うと、肌を守っている皮膚常在菌まで死んでしまいます。すると外部の細菌が繁殖し、かえって肌荒れの原因になる可能性があります。フケやかゆみで悩んでいる人は、殺菌剤を使用するべきかどうか、専門医に相談することをおすすめします。
特に気を付けるべき界面活性剤
ラウリル硫酸Na
ラウレス硫酸Na
オレフィンスルホン酸Na
洗浄力がマイルドなシャンプーの選び方
シャンプーの洗浄成分である「陰イオン界面活性剤」の中には、低刺激で穏やかな洗浄力の成分もあります。それが「カルボン酸系」「タウリン系」「アミノ酸系」とよばれるものです。
洗浄力の高さは、タウリン系>カルボン酸系>アミノ酸系>の順番です。
成分表示に次のような表記があれば、おおむね判断ができます。
タウリン系
語尾に「〇〇タウリンNa」とつくもの
例:ココイルメチルタウリンNa
カルボン酸系
語尾に「〇〇カルボン酸Na」や「〇〇酢酸Na」がつくもの
例:ラウレス-5-カルボン酸Na
アミノ酸系
語尾に「〇〇アラニンNa」や「〇〇グルタミン酸Na」がつくもの
例:ラウロイルメチルアラニンNa
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参考
かずのすけ『オトナ女子のための美肌図鑑』株式会社ワニブックス 2017年