活性炭と炭の違いは何?―浄水器のカートリッジに活性炭が使われる理由

ガラス瓶に入った粒状活性炭

浄水器のカートリッジや、冷蔵庫の脱臭剤など、様々なところで使われている活性炭。
炭との違いをご存じでしょうか?
今回は、普段何気なく使っている活性炭について、詳しく見ていきましょう。

活性炭と炭の違い

もともと炭はいろんな物質を吸着する性質をもっています。これに特別な処理(賦活、活性化反応とも言う)をして、吸着する性質を強化したものが、活性炭です。

炭の表面には、直径20~60μmの小さな孔が沢山空いています。この孔が、サイズに応じた物質を吸着します。孔の中に物質を引き寄せて閉じ込めるので、水の汚れなどを除去することができます。
また、孔によって表面積が大きくなっていることも、物質を吸着しやすい理由のひとつです。

活性炭は、炭に「賦活」という処理を施すことで、目に見えないほど小さな孔を無数にあけています。その大きさは、0.8nm~数nmという細かさです。
活性炭は、賦活によって小さな孔が増えたおかげで、より小さな物質まで吸着できるようになっています。
また、活性炭の表面積は1gあたり1,000〜2,000㎡にもなります。これは、小さじ半分ほどの量でテニスコート約4面分の面積を持つことになります。

木炭

 

炭と活性炭の概念図

活性炭の種類

活性炭は形状によって次のように分類されます。

粉末活性炭:100Mesh(0.15mmφ)より小さい粉末状の活性炭。

粒状活性炭:活性炭を細かく破砕したもの。円柱形などに成形されたものもあります。

繊維状活性炭:活性炭をフェルト状や布状、ファイバー繊維などの形に成形したもの。

特殊成型活性炭:活性炭を上記の分類以外の形状に成形したもの。ハニカム状、シート状、板状、などがあります。

浄水器のろ材には、粒状活性炭や繊維状活性炭を圧縮して固めたブロック活性炭が使われることがあります。
圧縮して隙間を小さくすることで、ろ過膜としても機能するようになります。

活性炭の原料

現在、世界で広く使用されている活性炭の原料は次の通りです。

粉末活性炭:オガ屑硬質の木材チップ木炭(素灰)草炭(ピート)等

粒状活性炭:木炭ヤシ殻炭石炭(亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭等)オイルカーボンフェノール樹脂 等

繊維状活性炭:レーヨンアクリロニトリル石炭ピッチ石油ピッチフェノール樹脂 等

浄水器のろ材としては、ヤシ殻を原料にした活性炭がもっとも適しています。弊社でも、浄水器のフィルターにヤシ殻活性炭を使用しています

活性炭の作り方

活性炭は、原料を炭化したのち、更に賦活と呼ばれる処理を加えるという、二つの工程によって製造されます。

炭化とは中温(200℃~600℃)且つ無酸素状態で蒸焼きにすることです。

賦活の方法はたくさんありますが、現在最も多く採用されているのが、「ガス賦活法」です。
炭に、高温(800~900℃)の水蒸気を吹き付けると、孔をあける事ができます。
他に、原料あるいは炭化物を薬品処理する「薬品賦活法」がありますが、現在では「薬品賦活法」は特定の用途に対してのみ用いられます。

一般にガス賦活炭のほうが、ろ過性に優れるといわれています。

浄水器のフィルターと粒状活性炭

浄水器の「ろ材」としての活性炭:PFOS・PFOAも除去できる

活性炭によるろ過は、逆浸透膜方式と異なり、ミネラル分をそのまま残すことができます。これにより、天然水のようなおいしい水を毎日手軽に利用できます。

水の浄化にはろ材を用いますが、1種類で全ての有害物質を除去できるろ材はありません。そのため、いくつかのろ材を組み合わせて使用します。
活性炭が除去できるとされている有害物質は、次のとおりです。

  • ビスフェノールA
  • トリハロメタン類(ただし良質な活性炭が大量に必要)
  • 塩素消毒副生成物(臭素酸以外)
  • 合成有機化合物
  • 農薬の大半
  • ダイオキシン類の一部
  • 環境ホルモンの一部
  • 界面活性剤
  • 塩素
  • 2-MIB、ジオスミン

活性炭の表面は有機物と相性がいいので、有機物をよく吸着します。最近話題になっている、有機フッ素化合物(PFAS)の一部である、PFOSとPFOAも除去できることが判明しています。

参考:活性炭設置で濃度下がる 各務原市の「PFAS」(NHK 岐阜NEWS WEB)

 

活性炭は塩素も除去しますが、吸着するのではなく、化学反応によって殺菌作用のない無害な物質に変換しています。

ちなみに、市販されている備長炭の多くは賦活が施されておらず、活性炭になっていません。そのため、塩素以外はほとんど除去できません。

浄水器の性能は活性炭の量が決め手!

水の中の有害物質を効率的に除去するには、水と活性炭ができるだけ長い時間接触する必要があります。
そのため、ろ材の活性炭は量が多いほど効果が高く、持続力が長くなります。

活性炭の表面には、微細な孔が無数に開いています。この孔が、水道水の中の有害物質を吸着します。
孔の大きさは0.8nm前後の孔が多いのですが、0.5nm~数nmの範囲で、様々な大きさの孔が存在します。この孔が、サイズに応じた物質を吸着します。

しかし、大きめの物質(カビ臭の原因物質など)や小さめの物質(トリハロメタン類など)は対応する大きさの孔が少ないため、除去できる期間が短いです。長い期間除去し続けるためには、多量の活性炭が必要です。

良質なブロック活性炭を使用!約100項目の有害物質を除去する浄水器「磨水Ⅳ」

浄水器「磨水Ⅳ」

除去項目一覧のバナー

高性能な4層のフィルターで約100項目もの有害物質を高度除去

磨水Ⅳが高性能な理由は「ブロック活性炭」という活性炭を使用しているからです。ブロック活性炭は、活性炭を微細な粉末にし、それを型に入れて圧縮成型することによって作られます。

一般的な浄水器のフィルターは、サビや微生物などをこし取るためのろ過層と、トリハロメタンなどの化学物質を吸着する層に分かれています。一方ブロック活性炭では、非常に高密度な活性炭の中を水が通るため「ろ過」と「吸着」の働きを同時に行うことができます。これによって、フィルターの体積が実質2倍になり、除去性能が高まっています。

また、ブロック活性炭内部の微細孔は極めて複雑な構造のため、水と活性炭が接触する表面積が広くなっています。水との接触時間も長いため、ろ過能力と化学物質の吸着力が大幅に高くなります。

ブロック活性炭の概念図

 

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参考

株式会社エム・イー・ティ「「活性炭」と「炭」の違い」
https://www.metac.jp/user_data/about.php

株式会社クラレ「活性炭とは」
https://www.kuraray-c.co.jp/activecarbon/about/index.html

太平化学産業株式会社
https://www.taihei-chem.co.jp/chemical_products_business/activated_carbon/

池 裕次郎『安全でおいしい水が飲みたい!浄水器 かしこい選び方・使い方』亜紀書房 2008年

深見 輝明『誤解だらけの浄水器選び’99』八峰出版株式会社 1999年